Episode 3
鼓動なき反響
本コレクションは、継承された形象と時間の痕の再編から始まる。
家紋「並び鷹」を解体し、現代的なグラフィックとして再構成する。
また、着物に根ざす形態を身体と時間の関係として衣服の骨格へと置き換える。ヴァルター・ベンヤミンは『複製技術時代の芸術作品』において、芸術作品が機械的に再生可能になるとき、その「アウラ(唯一性)」は衰退すると論じた。
その分析は、美術史および視覚文化研究における基礎的理論として広く参照されている。
重要なのは、複製が進む過程で作品の起源や帰属が揺らぐという指摘である。
ASATOにとって、縫合(治癒)の痕跡は経験と身体が交差した結果として現れる物理的記録である。
それは本来、特定の身体と時間に帰属していたものであり、その帰属は他者に転移し得ない固有性の証左である。
しかし、形式が再現可能となり、痕跡が共有・流通する環境においては、その帰属は明確に規定しにくくなる。
形式は増殖し、視覚の均質化が進行する。
ただし、それは直ちに個人性の消失を意味するものではない。















